新幹線並行在来線に快速 県、計画素案に 富山

 北陸新幹線並行在来線北陸線)について、富山県は14日、第三セクターによる運営会社の経営計画の素案を明らかにした。JRが金沢以東の特急列車をやめる方針を示したことに対し、通勤・通学時間帯に金沢〜県東部で快速列車を走らせる考えも盛り込んだ。


 富山市内で開かれた県並行在来線対策協議会の幹事会で、今年5月に示された「経営の基本方針」を受け、より踏み込んだ経営計画概要の素案として明らかにした。素案は「経営の基本事項」「主要事項(計画内容)」「利用促進策」「今後のスケジュール」の全4章でできている。


 基本事項の中で経営理念として(1)安全確保を最優先し生活路線として利便性を確保する(2)組織を簡素化し健全経営を目指す(3)県内公共交通機関網の拠点として地域振興と住民福祉の向上を目指す――と掲げた。経営区間は、石川県境の倶利伽羅駅新潟県境の市振駅について富山県側信号機までの東西98.7キロで、管理駅数は石動駅越中宮崎駅の19駅とした。


 運行計画では、利用客の多い富山駅高岡駅などの朝夕ダイヤを充実させ、2両編成の新型車両を導入して一部はワンマン化する。


 北陸線の走る新潟、富山、石川3県で運営会社が異なる「県境分離」問題では、石川県との間で「石川県の会社は富山駅まで」「富山県の会社は金沢駅まで」の相互乗り入れを目指す。新潟県との間では「新潟県の会社は泊駅まで」「富山県の会社は糸魚川駅まで」の相互乗り入れを目指す。糸魚川駅富山駅の直通運転も考慮する。


 一方、利用促進策のソフト面では、並行在来線を含めて県内の公共交通を1枚のICカードで利用できるようにならないか可能性を探る。JR東日本の「Suica(スイカ)」やJR西日本の「ICOCA(イコカ)」との連携も視野に入れる。三セクの会社名を県民から募集する考えも示された。


 素案は年明けにある対策協議会で正式に話し合われ、来年春の第2次旅客流動調査などを経て、再来年初頭にも最終版を定める。