新ホームドア、扉位置に合わせ移動 転落防止に期待

 乗客がホームから転落したり列車と接触したりする事故を防ぐ効果が大きいホームドア(可動式ホーム柵)。車両のタイプごとに扉の位置が異なる路線での設置が進まないなか、列車の扉の位置に合わせて、ホームドアの側を動かす新型の開発が進んでいる。国土交通省も支援を始めた。


 ホームドア設置は、東京都のJR山手線・目白駅で1月に全盲の男性がホームから転落して死亡した事故などをきっかけとして、視覚障害者団体を中心に要望が強まっている。全日本視覚障害者協議会(事務局・東京都)の調査によると、視覚障害者のホーム転落事故は1994年から全国で少なくとも38件起きており、うち18人が亡くなっているという。同協議会は、「落ちないホームを一日も早く実現してほしい」と、国交省JR東日本などにホームドアの早期設置を求める要請を出している。


 2010年8月には、京王電鉄新宿駅(東京都新宿区)で、乗車待ちの列の先頭にいた男性が押し出されてホームに転落し、列車との間に挟まれて死亡する事故も起きている。


 ホームドアの効果は際だっている。東京メトロは1991年開業の南北線から設置を始め、丸ノ内線副都心線で設置を終え、現在有楽町線での工事を進める。同社によると、ホームドアを設置した駅では、故意ではない転落事故は起きていないという。「安全面での効果は絶大」とし、今後銀座線にも設置する予定だ。